SCOPE GROUP Sustainability

Sustainability Runners vol.2 廃棄されるブルーシートをアップサイクル

「災害時に使用され、のち廃棄されるものなどをアップサイクルする「モノづくり」を広めるワークショップができればいいなと考えています。 」プロデューサー 岡本優人

「BLUE SEED BAG®KANGAROO」は、熊本とつながるきっかけになりました。熊本は他人事ではなくなりましたね。」プロダクトデザイナー 鈴木康予

サステナビリティを実践するスコープグループ社員を紹介するSustainability Runners。今回は、『BLUE SEED BAG®KANGAROO(カンガルー) Project』を立ち上げ、REMAKE【ごみの利活用】RETURN【売上を被災地へ】REMIND【災害をわすれない】活動を展開する二人を紹介します。

【BLUE SEED BAG®KANGAROO Project】

スコープは一般社団法人BRIDGE KUMAMOTO(所在地:熊本県熊本市、代表理事 佐藤かつあき氏)との協業で、被災地で使用されたり、端材として廃棄されるブルーシートをアップサイクルしたエコバッグ「BLUE SEED BAG®KANGAROO」を、2020年7月1日に発表、予約販売開始。環境問題を「カンガエルー(考える)」きっかけになる商品であると、世の中の注目を集めました。

商品名: BLUE SEED BAG®KANGAROO (カンガルー) 親子セット

価格 : 親子セット(大・小2個セット) 1,650円(税込・送料別)

サイズ : 大 W33.5㎝×H36㎝ 底面W20㎝×H11.5㎝

小 W26.5㎝×H28.5㎝ 底面W15㎝×H8㎝

販売個数:100個(初回計画数)

販売場所:BRIDGE KUMAMOTO(ブリッジクマモト)のECサイトより7月1日より予約販売開始

【Interview】

Q 「BLUE SEED BAG®KANGAROO」開発のきっかけを教えてください。

岡本:2016年4月の熊本地震をきっかけにBLUE SEED BAG®に出会いました。BRIDGE KUMAMOTOは被災地で使われたブルーシートを使ったバッグの第1弾を出していたのですが、「第2弾として、もっと手軽で、そしてストーリーを持たせた商品で展開を広げたい」という相談を受けていたんです。そんな折、2019年9月に千葉で台風が発生し、第2弾開発が本格的に動き出しました。

買いやすい値段や使いやすい仕様で、ストーリーを伝えられるものを…と、鈴木さんと一緒に検討する中、「国産でコストをどう押さえるか?」という課題に突き当たりました。

Q 苦労した点を詳しく教えてください。

岡本:最も苦労したのは値段を下げることで、「形」が一番のポイントです。「BLUE SEED BAG®KANGAROO」はニュースリリースなどで「エコバッグ」と言っていますが、私流の言い方では「パリジェンヌ風バッグ」ですね。買いだめせず、その日に食べる分だけ買うサイズでいいんじゃないかな?とか、持ち手もない方が使いやすいかな?と考えました。このバッグはサイズ感がデイリーで使いやすいのが長所になると思い、鈴木さんに「コストは抑えつつデザインで差をつけたい」と相談しました。

鈴木:現実的に商品化する際、コストを下げるためには持ち手がないほうがいいんです。縫う長さが短いほど安く作れるので、できるだけシンプルなデザインを考えました。価格設定については、2000円以下にしたいという目標があり、BRIDGE KUMAMOTOの佐藤かつあきさんと話し合い、少しでも安く出そうと「1500円、税別」で決まりました。利益目的ではなく、名刺代わりにいっぱいあちこちにバッグが飛び立つ方がいいと思っています。

Q レジ袋有料化のタイミングにあわせてリリースされましたが、それまでの開発の様子はどうでしたか?

鈴木:私はコロナ禍で自宅にいたので、家にブルーシートを送ってもらって、縫って、鉢植えを入れてみて撮影し、チームメイトにその写真を送ったら「いいね!」と返事があったので、そこからデザイン考案をスタートさせました。このバッグなら、雑貨を入れてもいいし、キャンプでも使えます。

岡本:私はバッグインバッグにしています。ダメージも風合いのうち、というところでは「デニム」という感じですね。

Q: デザイン面のこだわりを教えてください。

鈴木:ブルーシートを使うというのは必須条件。極力シンプルで、マチのサイズは何パターンか作って、縦横比をどうするかずっと考え続けて…。ロゴをつける位置も念入りに研究し、たたんだ時と、おこした時の位置を何度も確認しながら作りました。

Q:この商品は、アップサイクルというエコであるのと同時に、地元愛から生まれた商品だと思うのですが、地元への想いは?

岡本:プロダクトを開発する際は、地元愛に紐づければ、誰でもアイデアが沸きやすいと思っています。人が喜ぶことにつなげる時は身近な人からの連想が多いかなと。今回のプロジェクトは、地元の様子を世の中に伝えたいというのと、地元を守りたいという気持ちから動きました。熊本で生まれ育った私は、災害で熊本が傷んだのだから「やるべき」と感じたのです。

東京に長く住んでいる私ですが、熊本は私が帰るところで、安心できる場所があるということ、拠り所です。災害で熊本が痛んだので、ただただ「助けたい」と思いました。

熊本地震の時は、熊本空港は閉鎖、鹿児島空港は開いているけど道路がストップ…という状況でした。すぐに羽田から福岡空港まで行って、陸路で地震のポイントまで、友人の車で未舗装路を進み熊本に入ることになったんです。何百kgという水を運びました。地元の方もボランティアの方も、誰もが大変な思いをしている中、みんな本当に一生懸命でした。お互いに助け合う姿を見て、私はみんなのポジティブさに心を打たれました。その時に苦労をともにした仲間は、今でも大切な存在であり、つながりがありますよ。

鈴木:私は東京出身なのですが、仕事をきっかけに知り合った人の出身地、お取引先様の所在地で災害が起こると自分ごとになっていきますね。台風の時はLINEで現地の皆さんの無事を確認したり、少しだけだけど寄付したりと、知り合いが増えるごとに自分ごとになります。「BLUE SEED BAG®KANGAROO」は、熊本とつながるきっかけになりました。熊本は他人事ではなくなりましたね。

Q パートナーであるBRIDGE KUMAMOTOについて教えてください。

岡本:BRIDGE KUMAMOTOは熊本を拠点とする団体で、代表の佐藤かつあきさんを始め、みんなパワフルです。災害復興支援など、さまざまな社会課題の解決に挑戦するデザイナーチームです。

鈴木:「クリエイティブの力で役に立とう」というのがBRIDGE KUMAMOTO。私もデザイナーとして共感できることが多いです。7月の豪雨で球磨川が氾濫した時は、一晩で募金サイトを立ち上げ、1週間で4000-5000万円もの寄付金が集まりました。あの時はとてもスピーディーでしたよ。

岡本:BRIDGE KUMAMOTOは、発災に対応できるよう2016年から4年間準備していたんです。どのように行動すべきか、チーム全員への周知も徹底されていました。

鈴木:私は熊本のメンバーとは直接会ったことなくZOOMで打ち合わせしていますが、みんな熊本弁なんです。

岡本:BRIDGE KUMAMOTOの本拠地は、熊本城もある由緒正しき場所でもあって、私の地元です。私もいつも熊本弁をしゃべっています。このバッグ「すごくいいよー」を熊本弁で言うと、「たいが、よかばい!」です。

Q:「BLUE SEED BAG®KANGAROO」の発表で大きな反響がありましたが、いかがでしたか?

岡本:このバッグが世の中に知られることで、「災害からの復興について積極的に知ろう」という人が増えて欲しいと思います。次に発災したら、どう動くべきか考えるきっかけになればいいですね。そんなきっかけづくりの一環として、私は今後、災害時に使用され、のち廃棄されるものなどをアップサイクルする「モノづくり」を広めるワークショップができればいいなと考えています。いろんなエリアを細かく回りたいです。

鈴木:私は、焦らず、細く長く地道に展開していかないといけないと思っています。今回のバッグ開発では、皆と話しながら、どう転がっていくか楽しめました。転がり方の想像がつかない、どんどんアイデアが発展していくいいチームです。バッグのロゴデザインも橋(Bridge)からカンガルーに変わって全然違う感じになったし(笑)

岡本:チームの皆が顔を合わせると、アイデアが勝手にどんどんアップデートされていくので、私がちょっと企画書を作ろうと思っても全然追いつかないですよ(笑)

【Impression】

一人ひとりの地元愛や地域愛が大きなパワーとなりアクションを起こす。そこに人が集まり、アイデアと連携が生まれ、よき循環を誘発する。そしてその想いは共感を生み、伝播してゆく。そんな物語を感じさせていただきました。お二人の活動は、たいが、よかばい!

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