SCOPE GROUP Sustainability

第7回SDGs社内研修を行いました。印刷物でSDGsに貢献するヒントを学ぶ

スコープグループは、2023年10月3日、SCOPE GROUP SDGsセミナーを社員教育の一環としてオンラインで実施しました。サステナビリティ実践のトップランナーによる講話、社内の年次「FSCⓇCOC認証更新研修」の2部構成です。

第1部では、サンエー印刷の常務執行役員吉川様から、私たちの業務の中でも身近な印刷物における環境に対する配慮の重要性、そして持続可能性への影響についてお話しいただきました。今回は、講演内容をダイジェストでご紹介します。

    

“環境”を語るのは難しい~多様性、多面性を考慮した選択が必要になる

例えば、割り箸とプラスチック箸、環境との関係を考えてみると、どちらも良い面と悪い面があります。割り箸は木材を無駄なく使って作られているため、木の有効活用という観点から考えると良いと言えます。一方、プラスチックの箸は洗って何回も使えるため、使い捨ての割り箸よりも環境に優しいと言えます。しかし、洗う際には水・電気・洗剤などが必要なので環境への悪い影響も考慮する必要があります。どちらが良いか悪いかという問題は一概には答えられず、選択する際に様々な要素を考慮して判断することになります。

次に、私たちの業務の中でも身近な紙について、環境との関係を考えてみましょう。
紙は環境にとってどうなのか、PDFがいいのではないか、となると、印刷会社にとって紙を減らすことは非常に困る立場でもあるのですが、「紙という資源は、地球上のあらゆる化石燃料などに比べて、適正に管理すれば唯一の再生可能資源です。」とお客様にお話ししています。紙は木材から作られるので「木材の適正な管理」を通じて、環境に合致する多くのニーズに応えられます。また紙の再生において、日本は世界トップクラスであり、回収された紙のうち約6割が再び紙製品として利用されています。紙は無駄にならず、環境に悪い影響を与えるものではありません。紙の真の価値と貢献度を理解していただきたいと思います。

合わせて、グリーンウォッシュ/SDGsウォッシュについての認識も大事です。例えば、当たり前の規制や禁止された物質を「使っていない」とPRすること、つまり、その企業の独自のオリジナルとして装うこと、これは適切ではありません。問題となるので十分配慮してください。

        

SDGsに貢献するロハスプリンティング。最適な印刷物づくりとは

1.適正に管理する「しくみ」が森林認証システム

ものを作る側として、FSCをどう管理をしているのか、どういう位置づけがあるのかというお話しをします。
FSC®認証のシステムのポイントは、「混ざらない、繋がる、エビデンスの保証」と言えます。
FSC®認証は、木材の遺伝子組み換えや不正な混合を防ぐための細かな規格が求められます。認証された山で木が切り出され、林業者やパルプ製造、製紙会社を経由して紙を販売する代理店に至ります。このサプライチェーンの各供給会社すべてがCOC認証を取得し、各サプライヤーが一つの輪を作り、つながりを持つことが求められるのです。例えば、COC認証を取得していない代理店からは紙を購入できない、印刷において認証を持たないお客様から用紙を提供されるとFSC®製品にはならない、となります。そして識別が必要です。「サプライチェーンは守られ最終的に印刷物が出荷される際にはFSC®認証紙が正しく使われている」というエビデンスが必要で、ラベルが付けられ、FSC®製品として出荷されます。このように、FSC®認証された紙や印刷用紙が混ざらないようにするための「しくみ」で、サプライチェーン同士が繋がっていることが非常に重要な認識となります。

もう一点、2022年にFSC®森林認証の改定があり、「児童労働禁止」と「安全管理」の重要性が明確化されました。要求事項は児童労働禁止、強制労働禁止、雇用差別の撤退、結社の自由と団体交渉権の尊重です。サプライヤーはこれらを守り、エビデンスを提供、すべてを監視する必要があります。審査では役員や従業員がヒアリングされ、通報制度もあります。「児童労働禁止」と「安全管理」についてはお客様の関心も高まっているので、覚えておいてください。

2.ローカーボン社会を目指すカーボンフットプリント

カーボンフットプリントとは、あらゆる製品の原材料から出荷して使って廃棄されるまで、つまり、ゆりかごから墓場までの全部の環境負荷/エネルギーをCO2に置き換えて表示するというしくみです。サンエー印刷は印刷物の見積もりで紙の量や版の枚数などに合わせて「CO2排出量」を計算するデータベースをつくりました。CO2排出量を提供でき、印刷物に表示できます。
またカーボンオフセットというCO2排出を相殺する手段があって、「カーボンオフセット付きの年賀状」などは排出権を購入して年賀状販売によるCO2排出を相殺します。排出権が風力発電ならばグリーンエネルギー購入として認められてエビデンスとして示すこともあります。イベントなども、車や電車の利用者数を考慮してその分の電気量を計算し、グリーン電力を使用する取り組みもあります。

3.世界初・日本初のライスインキ

ライスインキは、大豆油を使用する従来のインキとは異なり、米糠が主成分、VOC(揮発性有機化合物)がゼロ、という特徴を持っています。お米は国内産なので輸送マイレージ低減=「CO2排出量の削減」や地産地消が実現しています。また、従来大豆油は搾りかすが牛の飼料や肥料にしかならないという問題も解消、お米自体を「食の確保」とし、従来廃棄の米糠を使うので「産業廃棄物削減」という利点があり、SDGsの目標と非常に適合しています。日本インキ工業会作成のベジタブルオイルマークとは異なり、ライスインキは米を原料とした地域資源の活用で開発されたものです。環境に優しい印刷物づくりに貢献する一つの取り組みで、将来的により持続可能な社会貢献が期待されています。
サンエー印刷も、ライスインキでいろいろな取り組みを始めます。

     

印刷物に使用できるマークは多種多様。幅広い選択肢をお客様へ

ライスインキのマーク、バイオマスマーク(10%や20%の数字がつく)、水なし印刷を表す蝶のマーク、サンエー印刷作成オリジナルマークのVOCフリーマーク(VOC=揮発性有機化合物を排出しないことを示す)、クローズドループリサイクルのマーク(アルミの使用済み板が再び印刷に利用されることを表す。CO2排出が大幅に削減される)、グリーン電力マーク(印刷や製本工程で使用された電力がグリーン電力でまかなわれていることを示す。電力使用量を計算し、グリーン電力の排出権購入証書を使用して表示される)、人の目のマーク(CO2排出量を表示。警備会社や鉄道会社などが取り組んでいる)、企業オリジナルマーク(複数のマークを多く表示せずに企業が独自作成して使用することは可能、わかりやすくなる)、など多種多様。幅広い選択肢を提案していただきたいと思います。

以上、講演内容のダイジェストでした。

     

FSC認証規格遵守のため社内運用ルールを再確認

第2部として、第二営業本部第1営業部諸星祥行さんによる講習を実施しました。「FSCⓇCOC認証紙」の運用には厳格なルールがあり、FSC 認証規格遵守の一環で年に1回のペースで社内教育が義務づけられています。今回で第4回目の実施となりました。
講習のはじめに、「FSC®認証紙とは、適正に管理された森林から、管理された輸送手段で、管理された工場に移動し作られた紙」、「FSC®の「森林認証制度」は持続可能な森林の利用と保護を図ろうとする制度」などの基本を再確認しました。続いて、直近の受注事例、FSC®認証ラベルの再認識、社内管理体制、安全管理責任者を配置する理由、社内運用などを学習しました。

写真 右:サンエー印刷 常務執行役員 吉川様、 左:スコープ 諸星祥行さん

受講者の声

受講者からは「印刷物にCO2の排出量を表記するのはインパクトが強く、社内物やクライアント様への提案で、ブランディングに有利なビジネスツールとして活用できそう」との声がありました。

私たちスコープグループは、サステナビティーについて主体的に考えつづけ、アクションを起こしてまいります。