SCOPE GROUP Sustainability

SCOPE GROUP SDGs未来塾『マイクロプラスチック・ストーリー ぼくらが作る2050年』オンライン交流会を開催しました。グローバルな視点での対談で語られた日本の環境課題とは?

二人の環境活動家による対談開催!

スコープグループは、2022年11/25(金)~12/4(日)『マイクロプラスチック・ストーリー ぼくらが作る2050年』オンライン映画上映会と、12月3日(土)『環境活動家谷口たかひささんと佐竹監督とのオンライン交流会』を開催しました。テーマは「みんなで考えてみよう!プラスチックのこと、気候危機のこと。」環境活動家の谷口たかひささん(「地球を守ろう」主宰)と『マイクロプラスチック・ストーリー ぼくらが作る2050年』の佐竹敦子監督をパネリストに迎え、熱い対談が展開されました。

谷口さんは2021年国際国連総会でスピーチをしました。ケニアでの学校建設、メガバンクM&Aのコンサルタント、グローバル IT 企業の取締役などを経験。2019 年には気候変動の深刻さを目の当たりにし、「地球を守ろう」という団体を立ち上げました。気候変動とその影響について警鐘を鳴らし、市民活動をリードし、具体的な行動を起こすよう、世の中に呼びかけています。講演で訪れた国は 60 カ国以上にも及びます。現在は日本で活動し、講演回数はもう1000回を超えました。呼ばれたらどこへでも行くという講演活動で、家にいることがほとんどないため、家を手放し宿泊施設滞在スタイルに。なので“ホームレス”環境活動家と名乗っていらっしゃいます。

佐竹さん「いま、どこにいらっしゃるのですか?」
谷口さん「いま、京都から名古屋に移動し、ホテルについたところです」
佐竹さん「ホテルなんですね。谷口さんはただの環境活動家ではなく、“ホームレス”環境活動家ですからね」
谷口さん「はい、その通り、家はないですね」
対談は、2人の個性派パネリストの軽妙な掛け合いからはじまりました。

今回のレポートでは、サステナビリティー編集部(当サイト制作スタッフ)が、特に学びのあったエピソードを厳選してご紹介します。真実を知りたいと思う参加者の心を掻き立てるものばかりです。これらの言葉が、全ての人にとってアクションを起こすきっかけになれば幸いです。

環境問題について

僕が海外で活動していた頃、ドイツやオランダをはじめとするヨーロッパ各国に量り売りのスーパーが生まれ、小売業の現場でプラスチック使用量が減っていきました。竹の歯ブラシなど続々登場するエシカル商品を目の当たりにし日本にも広めようと、ドイツに移住して起業しました。そのドイツでは1日140万人もの子どもたちが学校に行かずに地球温暖化への警鐘を鳴らしデモを起こしていたのです。気候変動がいかに重大なことであるか衝撃を受けました。一方で日本は、メディアの扱うトップニュースは新型コロナウィルス感染症関連が多く、日本人は気候変動に対して知らないことが多すぎるという状態。このギャップには驚かされますが、日本人が現状を「知らない」ことは希望であり、知れば行動を起こすと考えました。そして、日本での講演活動を始めたのです。メディアに頼らずとも、自らがメディアとなって日本中をまわって講演し、気候変動の深刻さを発信しています。

僕は、気候危機は、環境と共に『平和』を奪うことを訴えています。気候変動により海面が上昇すると、人間が住める場所が減り、移住し始めます。干ばつも進み、食べ物欲しさに臓器を売ったり、内戦がおこったりします。気候変動で最初に失われるものは、環境ではなく『平和』と言われています。アメリカのある大学の研究チームが8月にネイチャーフードで発表した論文では、食べ物が世界的に減っていって、食べ物の国際取引が停止すると、世界で生まれる餓死者の 1/3 は日本人とのことです。

日本人はごみを分別して捨てることでちゃんとリサイクルの流通にのせていると安心してしまいがちですが、現実では、日本のリサイクルされているプラスチックは約24%とも言われ、わずかなのです。プラスチックごみの 2/3 は実は海外に輸出されています。日本人が捨てたペットボトルは「リサイクル」という名目で、トラックで港まで運ばれ、船で国境を越えてマレーシアなどにわたり、その国の処理工場に運ばれているというのが現実です。海外へ出された日本の廃棄物は、その国の処理工場で加工されたり廃棄されたりします。世界中を旅したプラスチックが日本に戻ってきているということですが、これって日本は分別してリサイクルしていると言えるのか、ということです。

未来世代の教育について

僕は20歳のころ、教育が進んでいる北欧を回り、学校見学をしました。教育研究者の「日本とヨーロッパの教育の一番大きな違いは、日本は義務ばっかり教え、権利のことは教えないこと」という一言に衝撃を受けました。学校でも家庭でも、“やらなければいけない” “やってはいけない”ことばかりで、そのまま大人になり自分の子どもに同じ教育をする、この『義務脳』では、問題を積極的に解決しようという思考が育ちません。ヨーロッパでは、基本的にほぼ全て、“やっていい”ことで、あなたの人生で責任を取るのもあなたという『権利脳』の考え方になります。社会的なアクションを起こすことを応援してもらえるような感じです。映画でも、ニューヨークの小学校5年生が「きれいな海を享受する権利がある」と主張します。日本人の小学生の口からは、権利という言葉は出てこないような気がします。

学校給食に関する政府の対応は、日米で大きな違いがあります。アメリカでは全ての子どもが同じ教育を受ける権利があるという考え方に基づき、朝、昼、夕食が無料です。学校が望めば放課後もあったかいごはんが食べられます。これは、お腹が空いたら同じ教育を受けられないという考えに基づいています。夏休みの期間は、公園にフードトラックが出て、18歳以下の子どもなら市民でなくても朝ごはんと昼ごはんを無料で食べられます。この取り組みを、教育委員会の給食管理部が主宰していることに意義があります。日本では“子ども食堂”がありますが、恵まれない子どもたちに大人たちが支援するという行動で、福祉の視点です。日本とアメリカは、システムが異なるのです。

アクションについて

日本ではプラスチック削減の取り組みが世間一般の耳目を集めています。プラスチックのスプーンを木に変えるという実績を、目の当たりにするようになりました。代替品を使ってエシカルな製品を生産するのもいいですが、ベターなのは新たな資源を投入しないリユース(再利用)です。ベストなのは、水道の蛇口を締めることで、企業は新しい商品を生産しない、生活者は新しいものを買わないリデュース(減らす)です。ということは、いま持っている洋服を捨てて、地球にやさしい洋服を新調するのは、エシカルとは言えません。

信じられないぐらい多くの署名を集めて、自治体や校長先生を驚かせたらいいのでは?と思います。署名運動の有効性として、アメリカでは、署名を集めて「農薬の使用の規制ルール」を変えた実績もあるそうです。東京や北九州市などでも、プラスチックのストローはいらないという件で署名を集めた実例があります。プラスチック削減に関する署名も、個々に集めるのもいいですが、日米合同で行ったらインパクトあるものになりそうですよね。日本の校長先生は、いきなりアメリカのお母さんの名前がいっぱい並んだ署名を見て、さぞ驚くことでしょう!

   

谷口さん、佐竹さん、子どもたちに続いて、私たちも行動しよう

多岐にわたる環境問題について活発に意見交換が行われ、参加者からも、谷口さんと佐竹さんへの質問があり、あっという間の90分間となりました。メディアでは取り上げられない、気候変動やプラスチック問題、リサイクルの闇の部分がある現実にも言及された今回の対談は、循環型社会の実現を目指している日本人に「ちゃんとやっていこう」と奮起させるものがありました。さて、これを機にどんなアクションを起こすかどうかが大事です。

谷口さんのスケジュールは、連日講演でびっしり埋まっています。佐竹さんは、これからも自主上映会の座談会に積極的に参加し『マイクロプラスチック・ストーリー ぼくらが作る2050年』のメッセージを広く伝えていきます。アンバサダーズも、定期的な交流会を継続しています。アンバサダーズの子どもたち自身は、佐竹さんとの交流を機に、様々な活動をしています。

さいごに、環境問題の解決に向けては、「集団行動」が求められています。それには、わたしたち日本人、一人一人が環境問題にきちんと関心を持ち、事実を知り、アクションに変えることが必要であると、今回のイベントを通じて教えていただきました。
私たちスコープグループも、SDGs達成に向けてアクションを起こし続けていきます。今後もSDGs未来塾にご期待ください。

パネリスト

谷口たかひささん

日本の環境活動家。ケニアでの学校建設、グローバル IT 企業の取締役などを経験。2019 年には気候変動の危機を目の当たりにし、「地球を守ろう」を立ち上げる。2021 年国際国連総会でスピーチ。講演で訪れた国は 60 カ国以上にも及ぶ。

佐竹敦子さん

ニューヨーク市マンハッタン在住。『マイクロプラスチック・ストーリー ぼくらが作る2050年』共同監督&プロデューサー。株式会社スコープ主催のコミュニティー「マイクロプラスチック・ストーリー ぼくらが作る2050年 アンバサダーズ」には顧問として参加し、子どもたちと楽しく交流しながらプラスチック問題の解決に取り組んでいる。