SCOPE GROUP Sustainability

第4回SDGs社内研修を行いました。エシカルな紙を使う意義とは

■エシカル資材の普及に注力する山櫻の取り組みから学ぶ

スコープは、2021年9月7日(火)、FSC®COC認証制度についての知識や運用を学ぶ社員研修をオンラインで行いました。2020年4月にFSC®COC認証を取得したスコープには、認証制度について最新手順を確認するための社員教育を実施することが義務付けられています。FSC認証に関するセミナーは、初回の2020年6月に続き、今回は2回目の開催です。前回と今回ともに受講対象をスコープグループ社員全員とし、ナレッジを共有しました。

第一部は、株式会社山櫻の高崎啓介執行役員をゲストに迎え、「エシカル資材を扱う意義と取り組み事例」をテーマにご講演いただきました。山櫻は1931年の創業以来、紙製品事業を主力とする企業として発展し、業界に先駆けてエシカル資材の活用を推進しています。1990年に再生名刺の取り扱いを機に環境企業としてスタートし、1998年には非木材を採用、2007年にはFSC認証を取得。封筒や包装紙、紙袋など、日常の多くの場面で見かける紙製品の原材料を積極的にエシカル資材に切り替えており、達成度を数値化しつつ、マーケティングやチャレンジを積み重ねているそうです。

■FSC認証紙を使う意義を考える

高崎さんは、エシカル資材を導入していくことは時代の要請であると話します。政府が宣言したカーボンニュートラルを実現するため、行政は教育に注力し、企業はSDGsを推進しています。SDGsが当たり前の時代になったと言いつつも、多くの職場がサステナブルな考え方を浸透させるのが難しいという悩みを抱える中で、山櫻は生活者が認証ラベルを気にせずエシカル商品を手に取れるよう、自社製品全多数におけるエシカル製品の割合を高めることを目標としています。
エシカル製品を増やしていく中で山櫻が重視しているのは、第三者の認証です。「この製品にはエシカル資材を使っています」とアピールするだけでは説得力は不十分、第三者の認証を得てこそ社会的責任を果たしていると高崎さんは考えます。
現在、紙製品においてもっとも認証性が確実な制度がFSC認証です。これは、認証管理された森林からとれた木材を使用していることを証明するもので、トレーサビリティーを確保するうえでも欠かせないものとなっています。
高崎さんは、「本業を通じてサステナブルな社会の実現のため、自分たちが出来る継続的な仕組みと理解している」と話します。

写真:エシカル資材の投入例                         

■もう1つのエシカル資材「バナナペーパー」

山櫻が注力しているもう1つの認証紙は「バナナペーパー」です。バナナペーパーとは、アフリカのザンビアで生産されたオーガニックバナナの茎を材料とした紙。茎の繊維を取り出し、日本の和紙製造技術を活用することで、風合いのある紙が出来上がります。切った茎は1年で再生するため、バナナの茎の伐採でザンビアの緑を減らしてしまうこともありません。バナナペーパーは、工場で雇用を生み出し、労働者の人権(健康、収入、教育)を守り、森林保全、動植物を保護するなどでフェアトレード認証も受け、経済発展にも好影響を与えています。
バナナペーパーを知ることで、「エシカルの本質」が理解できました。
さらに、バナナペーパーは、できるかぎりのCO2削減に努め、さらに排出量より多く吸収する「クライメート・ポジティブ」を実践(繊維配合20%以上の場合)、カーボンニュートラルを超える貢献が可能な紙であることを学びました。

■社内事務局より実務面のルールをアナウンス

第2部では、スコープのFSC®COC認証運用事務局・大澤泉さんより、社内運用についてのルールをアナウンスしました。FSC認証取得者として、専門機関による年次監査を受けつつ運用中であること、規格を始めとするいくつかの要求事項を遵守すること、組織の管理体制などをあらためて周知しました。
FSC認証紙を使用する際には申請から始まり、制作物のデザインなど、レギュレーションに沿った厳しいチェックが行われます。この厳正な審査が、FSC認証製品のトレーサビリティーの信頼性を確立していることを、グループ社員みんなで学びました。

セミナーを終え、聴講者からは、「FSC認証の申請は手間がかかるが、確かなトレーサビリティーを証明するため最適なシステムだと知った」「バナナペーパーを使いたい。エシカル消費や人権など、いろいろなことを考えさせられる」などの声がありました。スコープグループはこれからも企画を通じてサステナビリティ推進に努めていきます。

高崎啓介さん
株式会社山櫻
執行役員、セカンドブランド事業部 兼 IT・マーケティング部門

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