SCOPE GROUP Sustainability

SustainableRunners戸口さやかのさらなる挑戦

『SDGsポスター最優秀賞受賞』~「コロナ対策としてマスクをするのと同じくらい簡単なSDGs対策もあると思っています。」アートディレクター戸口さやか

昨年2020年10月に環境省・消費者庁・農林水産省が主催する『Newドギーバッグアイデアコンテスト』パッケージ部門絵柄デザインで「奨励賞」を受賞した戸口さやかさんが、さらに挑んだ次なる応募コンテストで連続受賞の快挙を成し遂げました。

今回の受賞は、JAAA(日本広告業協会)主催の「SDGsポスター」最優秀賞です。栄えある受賞に喜びつつも心が引き締まるという戸口さんに、応募の経緯やSDGsについて考えていることなどを聞きました。

【JAAA CSR委員会 SDGsポスター募集】

「ニューノーマルの時代に、未来志向の視点で社会課題の解決に何が求められるか? 」「これからの社会のために、広告人だからこそできることとは?」をテーマに、JAAAがアイデアを募集。80作品の応募の中から、最優秀賞1作品、優秀賞2作品が選出されました。

インタビューを受ける戸口さやかさん

【Interview】

Q:応募理由を教えてください。

ドギーバッグの時と同じく、部の先輩たちに誘われたことがきっかけです。前回の受賞(2020年10月)から今回の作品制作開始(2021年2月)まで、勉強する時間もあまりありませんでしたが、社内の図書コーナーにある推薦図書を読み進めていたことがよい勉強になっていました。

Q:ポスターのコンセプトを教えてください。

募集の主旨は「広告人として何が出来るか」を広告分野の人に考えてもらうためのポスターということになっています。

私はまず、コロナもSDGsも課題の重みや簡単に行える対策があるものとして同じなのに、世間はSDGsへの関心が低いことに疑問を感じました。その差の原因は、危機感の分かりやすさの違いから起こる周知不足で、それを解決するのは広告の専門領域ではないかと思いました。

JAAA(日本広告業協会)主催の「SDGsポスター」最優秀賞受賞作

Q:コピー「新しい”あたりまえ”を作ろう」をつくる時、どんなことを考えましたか? 

新型コロナウイルス感染拡大の影響で強制的にいまのニューノーマルが「あたりまえ」の状況になったので、SDGsに関しても「あたりまえ」の状況は作れると思いました。SDGsについてよく知らないと、「課題が重すぎて自分1人にできることは何もないのでは?」と誤解しかねません。広告業界人が意識をもってクライアントと共に動いて、生活者一人ひとりがレジ袋削減など小さいけれどもアクションを起こすよう世の中の意識を変えていくべきであると考えます。

Q:作品のキーワードとして「ニューノーマル」があると感じるのですが、コロナや「ニューノーマル」から気づいたことを教えてください。

募集のテーマはSDGsで、「未来志向の視点でなにができるか?」ということでした。コロナウイルスで人が亡くなるということは非常にショッキングです。ですが、SDGs視点でも環境、社会、経済に関する諸問題により人が亡くなっています。コロナもSDGsも事の重大さは変わらないと思います。

そして、コロナの脅威は感染者数や死亡者数が毎日メディアで報道されることで世の中に十分伝わっています。ですがSDGsについてはどうでしょうか。気候変動、飢餓などで人が亡くなっていて重篤な問題なのに世の中の危機感は薄く、改善への取り組みもコロナ対策と大きな差があります。

Q:コロナと比べるとSDGsに関して世の中の危機感は薄いと言えますね。

SDGsの情報は自分から取りにいかなければあまり触れることがないので、遠い世界の話、難しい話になってしまうのかもしれませんね。広告の役目は、世の中の人々にいろいろなものごとを知ってもらうことなので可能性を秘めていると思います。

 ニューノーマルの時代になって、人と会わなくなり飲み会も控えるようになりましたが、強制力があればそういった制約に多くの人が対応できるということに驚きました。だから、SDGsにおいても極端に言えば「ペットボトルでの販売をいつまでに禁止する」などといった強制的な取り組みがあってもいいのかもしれません。

Q:SDGsの危機感として“向けて欲しい関心”はいま戸口さんにとって何ですか?誰かに向けてメッセージをお願いします。

世の中の人々がコロナについて考える時間が増えましたが、コロナ対策がそのままSDGsへの貢献になるという取り組みもあると思います。SDGsとの接点がもっと増えればいいなと思いますし、マスコミがもっとSDGsを取り上げたら、世の中の意識の変化も早いのではと思います。

Q:社内に戸口さんの作品が掲示されていますが、どんな声がありましたか?

「おめでとう」と声をかけていただきました。SDGsについての会話も増えたように思います。勤務スタイルがリモートワークになり、社内で雑談をすることは減りましたが、その分ライングループがあります。業務であまりSDGsに関わりのない人も気軽に参加できるので、SDGsポスター制作もいろいろな人が参加していて、意見交換が活発になっています!

◎コンテスト結果発表ページはこちら≫

【Impression】

マスコミのSDGsへの姿勢は、国によって差があります。アメリカの新聞の一面は気候変動問題の重篤性が毎日掲載されると聞きますが、これに対し、日本の新聞の一面はビジネスを支える技術などの掲載が目立ちます。コロナの情報は満載なのに、気候危機に関する報道はあまりお目にかかりません。感度が低すぎではないでしょうか? これに「モノ申す」のが戸口さんのポスターです。あたりまえのように社会課題や未来の姿に関心を持つ大切さに気づかせてくれます。この想いをスコープグループの社員一同で共有し、広告人として社会を変えるべく影響力のある発信をしていきます。